- 離婚した場合、国・公共団体等による支援はありますか?
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手当、援助制度としては、離婚後のひとり親家庭が受けられる国の経済的援助である児童扶養手当、身体や精神に障害のある20歳未満の児童について児童の福祉増進を図る特別児童扶養手当、児童手当、母子父子家庭のための住宅手当、生活保護、ひとり親家庭等の医療費助成制度、小児医療費助成制度があります。
ひとり親家庭の割引、減免制度としては、所得税・住民税の減免、国民年金保険料の免除・猶予、国民健康保険料の減免、交通機関の割引制度、粗大ごみ等処理手数料の減免制度、上下水道料金の減免制度、保育料の減免制度、有利な利子を受けられる福祉定期貯金などの制度があります。
そのほか、母と子がともに暮らせるようにするための母子生活支援施設、公営住宅、母子(父子)家庭を対象にした貸付(年利1.0%もしくは無利子など)が行われる母子父子寡婦福祉資金貸付金制度などがあります。
※自治体によっては、実施していないところもありますので、詳しくは各区市役所、町村窓口へお問合せください。
- 夫は外国人です。私は日本人で、結婚後ずっと日本に住んでいます。離婚手続はどうなりますか?
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外国人と日本人の夫婦が離婚する場合、まず問題となるのは、そもそも離婚の手続を日本で行えるかどうかです。
判例によれば、被告となる相手方の住所地が日本であれば日本の裁判所で手続ができます。
また、相手方の住所地が日本にはなくても、あなたが相手方から遺棄された場合、相手方が行方不明である場合、そのほかこれに準ずる場合には、日本の裁判所での手続が可能となります。次に、離婚の手続を行うにあたって相手方の本国法が適用されるのか、それともあなたの本国法である日本法が適用されるのかという点が問題となります。いずれの国の法が適用されるかについては「法の適用に関する通則法」によって決まります。この通則法第27条ただし書によると、「夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は、日本法による」ことになります。
そのため、妻が日本人で日本にずっと住んでいる本ケースでは、離婚する際には日本法が適用されます。もし仮に妻も外国に住んでいるような場合には日本法が適用されないこともありますので、詳しくは弁護士に相談することをおすすめします。
- 養育費に税金はかかりますか?
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扶養義務者の相互間において扶養義務を履行するため給付される金銭には、所得税は課されません。また、扶養義務者の相互間において生活費または教育費に充てるための贈与により取得した金銭のうち、通常必要と認められるものには贈与税も課されません。
ただし、養育費の支払いは月払いが原則であるため、将来の養育費についてまで一括して支払いを受けた場合には、贈与税の課税対象となる可能性があります。
- 離婚時の慰謝料に税金はかかりますか?
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慰謝料は精神的損害に対する賠償であって贈与ではないため、金銭によって賠償される場合には、それが相当な金額である限り原則として税金は課されません。
所得税法でも非課税所得とされています(所得税法第9条1項18号、所得税法施行令第30条1号)。ただし、慰謝料が不動産など価値の増減する資産によって支払われる場合には、支払う側に譲渡所得税(譲渡所得)が、受け取る側に不動産取得税が課せられることがあります。
不動産の登記申請をするための登録免許税もかかるため注意が必要です。また、社会通念上、慰謝料が高額すぎる場合や、口約束による支払いなどで不法行為に対する慰謝料だと証明できない場合、偽装離婚と判断された場合は、実質的な贈与だとして贈与税が課せられる可能性があります。
たとえば、不貞行為による慰謝料の裁判上の相場は、離婚する場合で約100万~300万円です。そのため、300万円程度の慰謝料であれば、社会通念上「妥当」と判断され、税金が課されない場合が多いでしょう。
婚姻期間が長いケースや悪質なケースなどでは、300万円を超える場合もありますが、特別な事情がない限り1,000万円を超えることは稀です。
そのため、1,000万円以上などの慰謝料は社会通念上「高額すぎる」として贈与税が課せられる可能性があります。なお、贈与税が課せられる場合には、所得税が重複して課せられることはありません。
- 財産分与に税金はかかりますか?
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①財産分与を受ける方は贈与税は原則としてかかりません。これは、相手方から贈与を受けた(ただでもらった)ものではなく、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与義務に基づき給付を受けたものと考えられるからです。
もっとも、分与された財産の額が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮しても、なお多すぎる場合は贈与税がかかります。
そのほか、不動産を受け取った場合には登録免許税・不動産所得税・固定資産税等がかかります。②財産分与をする方は、金銭によって財産分与する場合、所得税はかかりません。
不動産や株式等、価値が増減する資産を財産分与する場合には、所得税がかかることがあります。取得価額と譲渡(財産分与)の費用の合計よりも譲渡時点の時価のほうが高ければ、その差額(譲渡所得)に所得税がかかります。
- 再婚するときに、戸籍から離婚歴が知られないようにすることはできますか?
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離婚をすると、通常、戸籍筆頭者(通常は男性側)はそのままの戸籍に残ります。そして、元配偶者は結婚前に入っていた両親の戸籍に戻るか、離婚の際に作った新戸籍に入ります。いずれの戸籍にも、それぞれ離婚した旨の記録は残ってしまいます。
ただ、ほかの市区町村へ戸籍を移す場合(転籍といいます)には、「離婚した旨の記載を希望しない」という申し出をすることが可能です。これにより、離婚の記録は転籍先の戸籍には引き継がれません。また、離婚により、ご両親の戸籍に戻った場合、新たに自分を筆頭者とする戸籍を作れば(分籍といいます)、離婚の記録は新しい戸籍には引き継がれません。
これらの方法により、現在の戸籍に離婚の記録を残さないことはできます。ただし、離婚の事実自体が消えるわけではないので、過去の戸籍を辿ることにより、離婚歴が知られてしまう可能性はあります。すべての記録を消すことはできませんので、その点はご注意ください。
- 再婚した場合、離婚時に取り決めた養育費の支払いはどうなりますか?
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法律上、親には子どもを扶養する義務があります。そのため、たとえあなたが再婚したとしても、原則として元配偶者から養育費を受け取れる権利に変わりありません。
しかし、お子さまが再婚相手と養子縁組した場合には、養親が実親に優先して第一次的な扶養義務者となりますので、通常は、義務者が負担する養育費の減額事由になります。もし、養育費を取り決めたあとに事情の変更があった場合には、養育費の額を変更することができます。事情の変更の一例として「再婚」が挙げられます。たとえば、再婚によりあなたの家計が経済的に豊かになったという場合、元配偶者から養育費の減額を請求される可能性があります。ただし、話合いや調停などにより、養育費の額が変更されない限り、これまでどおりの養育費を支払ってもらうことが可能です。
逆に事情の変更により、養育費を増額してほしいという場合にも、家庭裁判所に対して養育費の増額請求の調停を申し立てることが可能です。
詳しくは以下のコラムでも解説していますので、参考にしてみてください。
- 一度離婚すると、再婚するのに支障がありますか?
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これまで、妊娠中に離婚した女性は、離婚の日から100日を経過したあとでなければ再婚することができませんでした。これは、離婚後すぐに女性が結婚した場合、再婚後に生まれた子どもが、前の夫の子か新しい夫の子かわからなくなってしまうおそれがあったからです。
しかし、嫡出推定制度の見直しにより父性推定の重複がなくなったことから、令和6年4月1日より、女性の再婚禁止期間が廃止されました。そのため、再婚への支障はなくなったといえます。
- 妻からたびたび暴力を振るわれてしまいます。女性からの暴力はDVと認められないのでしょうか?
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女性からの暴力でも、十分DVとして認められます。DVには明確な定義がありませんが、一般的には、「夫婦などの親密な関係で行われる身体的・精神的な暴力」を意味するとされています。DVというと男性側からの暴力をイメージされる方が多いですが、男女の区別なく、このような暴力が行われればDVに該当すると考えられています。DV防止法も、正式には「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」という名称であり、これは当然に妻側の暴力も含んでいます。
女性の暴力であっても、傷害罪や暴行罪が成立しますし、民事上の損害賠償責任を負います。また、「婚姻を継続し難い重大な事由」として、離婚原因にもなりえます。
DVがひどい場合には、裁判所の力を借りて、あなたや同居のお子さま、ご家族に接近させないように命令したり、電話などを禁止したりすることも視野に入ります。
- 夫から暴力を受けており、夫から逃げたいです。どうすればよいですか?
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まず、婦人相談所、女性センター、福祉事務所など都道府県が設置している配偶者暴力相談支援センターに相談することをおすすめします。婦人相談所では、身の安全を確保するため、婦人保護施設や母子生活支援施設への入所等ができるまでの間、一時保護を受けることができます。
また、公益法人、NPO法人、法人格のない任意団体等の民間団体によって運営されているシェルターに相談することもできます。民間シェルターでは、被害者の一時保護だけにとどまらず、相談への対応、自立へ向けたサポートなど、被害者に対するさまざまな援助を行っています。
そのほか、夫と同居している場合には、裁判所に申立てをし、裁判所の命令の効力が生じた日から2ヵ月間、夫婦の生活の本拠地から夫を退去させ、住居の周りを徘徊することを禁止してもらえる場合があります(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第10条1項2号)。
また、夫と別居している場合には、6ヵ月間、夫が妻やその同居する未成年の子ども(※)につきまとうことや、住居や職場等の近くを徘徊することを禁止してもらえる場合があります(同法第10条1項1号、同条3項)。
※民法改正のため、2022年4月1日より、成人(成年)年齢は20歳から18歳に引き下げられました。
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